土地を売る手順

不動産を売却して現金化することは、分割する上では1番分かりやすい手段です。
もし土地を売ることになったときの手順を見ておきましょう。

1.不動産会社に査定依頼

土地を売りたいとき最初に行うのは、自分の土地がどのくらいの価値を持っているか、不動産会社に価格査定を依頼することです。
ほとんどの不動産会社は査定が無料で、この時点で費用は発生しません。

査定というのは、「この土地ならこの価格で売れそうだ」と、不動産会社が考える価格のことですが、査定価格で売れることを保証するものではなく、あくまでも大体の価値を示す基準でしかないことには注意しましょう。

査定は売り出し価格を決めるため

土地にも相場があり、無理に高い価格では誰も買おうと思わないので、どうしても相場なりの価格を付けて売り出す必要があります。
しかし、土地の価格は上下しますから、売り出す時点での相場が大切です。

そこで、不動産会社に価格査定を依頼して、売り出し価格を決める参考にします。
査定価格を信じてそのまま売り出しても、高ければ売れませんし、安ければ損をしてしまいますので、最終的には自分で決めるべきです。

簡易査定と訪問査定

不動産会社の査定には、簡易査定と訪問査定の2種類あって、それぞれの目的・利用方法は次のように異なります。

簡易査定:土地の価値を大まかに知るため、できれば複数の不動産会社に依頼する
訪問査定:土地の価値をより正確に知るため、契約する不動産会社に依頼する

査定を依頼していなくても、信頼できそうな不動産会社なら自由に選べますが、簡易査定をできるだけ多くの会社に依頼して、その中から選ぶ方法も良く使われます。
その際は、複数の会社に1つずつ毎回依頼していくのが面倒なので、一括査定サービスを利用するのが便利です。

査定に必要なもの

査定で必要になるものは簡易査定か詳細査定かで大きく異なり、簡易査定は、極端に言えば住所(地番)と広さがわかっているだけで可能です。
これは、簡易査定が立地と広さから簡易に求められる価格になるからです。

一方で、訪問査定の場合には、土地の登記簿謄本(法務局で取得)、公図・測量図、固定資産課税明細書などが必要です。
訪問査定を依頼する不動産会社から、指定されるものを用意しておきましょう。

2.不動産会社と媒介契約

媒介契約の媒介とは仲介のことで、売りたい土地を買ってくれる買主を紹介してもらうために、不動産会社と結ぶのが媒介契約です。
一般の買主ではなく、不動産会社に買い取ってもらう場合には、買主の仲介がないので媒介契約は結びません。

媒介契約の方法には3種類あって、それぞれ特徴が異なります。

・専属専任媒介契約
一社に絞って依頼するときに使われる契約で、全てを不動産会社に任せます。
知人や親戚など、自分で見つけた買主でも、不動産会社を通じて売却します。

・専任媒介契約
不動産会社は一社に絞られますが、売主が見つけた買主への売却は、不動産会社を通さなくても良い点で、専属専任媒介契約とは異なります。

・一般媒介契約
複数の不動産会社と契約することに制限はなく、売主が見つけた買主への売却も、不動産会社を通じて行う必要がありません。

媒介契約を選ぶ場合の注意点

不動産会社選びもそうですが、どの契約方法にも一長一短があって、どの契約方法なら、高く売れる・早く売れるということはないです。
しかし、一般媒介契約以外は、不動産会社が1社に限定されてしまうので、不動産会社の能力が出やすく、売れないときは不動産会社の変更も検討するべきです。

その一方で、一般媒介契約を複数の不動産会社と結べば、広く買主を見つけられて、高い金額で買ってくれる買主を探せそうに思いますが、他の不動産会社とも契約している売主の物件を、どれだけ本気で営業してくれるかわからない面を持っています。

3.売り出し

不動産会社と媒介契約したら、売り出し価格を決めて売り出しを開始します。
売り出しを開始するとは、自分の土地を広告(新聞広告、ポスティング、情報誌、インターネットなど)に載せて、どこかにいる購入希望者へアピールすることです。

売り出し価格の考え方

売り出し価格の上下によって、市場の反応が変わってくるため、売り出し開始時の価格は特に慎重に決めなくてはなりません。
そして、売り出し価格は下がることがあっても、上がることはないのが普通で、その理由は、売れない土地の価格を上げても、売れやすくはならないからです。

売り出し価格が高すぎると売れにくいですが、もし売れると利益が大きく、売り出し価格が安すぎると売れやすい代わりに、もっと高く売れたかもしれないと思ってしまいます。
同じ土地は一度しか売れないので、売り出し価格の判断はとても難しいものです。

通常の考え方としては、査定価格に若干の上乗せをして、一定期間売れなければ徐々に下げていく方法がとられます。
少し高い価格から始めることになるのですが、最終的な売却価格は、買主との交渉で少し下がるので、最初から値引きできるようにしておくためです。

4.購入希望を探す

不動産会社による広告が開始されると、不動産会社が窓口となって、広告を見た希望者から打診の連絡が入ります。
希望者から直接の連絡ではなく、仲介する不動産会社から連絡されます。

人気のある地域の土地、もしくは相場に対して安い価格の土地では、希望者が増えるため、前もって不動産会社に希望の最低額を伝えておけば、不動産会社が売主の希望に合わない希望者を除いて、交渉がまとまりそうな人だけを選定してくれます。

もちろん、専属専任媒介契約以外で不動産会社と契約している場合は、自分で買ってくれそうな人を探しても問題とはなりません。

売主がすること

不動産会社から希望者の連絡が入るか、自分で希望者を探して見つかると、価格交渉は基本的に売主の対応です。
よほど多くの希望者が現れない限り、価格交渉とは値引き交渉ですから、売り出し価格でそのまま買うと言ってくれる希望者以外は、少し安い価格で落ち着きます。

また、希望者が望めば、実際に土地を案内することもあるでしょう。
現地案内は不動産会社の担当者が対応することもあるとはいえ、最終的には価格交渉の相手となるため、人を見極めておくために所有者が案内するのも悪くないです。

売れなければ価格と不動産会社の見直し

売れない土地には、土地そのものに原因がある(不整形、土壌が軟弱など)こともありますが、それでも妥当な価格なら少なからず需要はあるため、いつまでも売れないなら価格が高すぎることも原因の1つです。

そこで、売り出し価格を少し下げて様子を見る、そしてまた売れなければもう少し価格を下げて様子を見るといった流れで繰り返します。
また、不動産会社の営業活動が不十分で、市場にアピールできていないかもしれません。

不動産会社との媒介契約は、原則的に3ヶ月以内(一般媒介契約では定めがない)なので、見直しのタイミングも契約満了と同時に訪れます。
その間、不動産会社がどんな活動をしていてどんな報告があったか、続けて依頼するほど信頼できるかなどを見直しの判断にしましょう。

5.買主と売買契約

価格交渉で合意すると、正式に買主と売買契約を結ぶことになります。
売買契約書は、媒介契約している不動産会社が用意してくれますが、売主しか用意できないものは自分で揃えます。

売買契約の必要書類と手付金

売買契約だけであれば、必要なものは印鑑(実印を使うことが多い)、手付金の領収書、収入印紙(契約金額と手付金額によって変わる)、加えるとしても本人証明くらいです。
少ないと思うかもしれませんが、土地に関する権利書類などは、決済(代金の受け渡し)があるまでされないからです。

手付金は、買主との合意さえあれば、特に金額が決まっているものではなく、通常は売却価格の10%程度とします。
必ず領収書を発行し、金額に応じた収入印紙を貼る決まりです。

売買契約から決済までの期間

売買契約が結ばれても、すぐに売却代金の全額が売主に入るわけではなく、改めて決済する日を設けるのが普通です。
それは、多額の現金を持ち歩かない安全面と、買主がお金を用意する期間のためです。

買主がローンを申し込むとき、審査には売買契約書が必要で、契約後に審査を申し込んで、決まるまでには1ヶ月くらい時間があきます。
売主としては、売買契約から2ヶ月は間をあけてあげないと、買主が何かと大変です。

6.決済と登記

買主がお金を用意できると、手付金以外の決済(代金の受け渡し)がされます。
通常は金融機関の一室を借りるなどして、現金ではなく振込を使います。

また、決済のあとは、司法書士が法務局に行って、所有権の移転登記(売主から買主へ土地の権利を移すこと)をします。
したがって、決済には次のような人が同席することになるでしょう。

  • 売主と不動産会社の担当者
  • 買主と不動産会社の担当者(売主と不動産会社が違う場合)
  • 司法書士
  • 銀行の担当者(お金の移動時)

決済は司法書士が仕切り、売主と買主の本人確認をして、正しい取引がされていることの確認と、登記に必要な書類を売主・買主の両方から提出してもらい、不足がないか確認する作業も併せて行います。

【決済と登記に必要なもの】

  • 登記済権利書(または登記識別情報)
  • 測量図、境界確定書
  • 実印と印鑑証明書
  • 残代金の領収書と収入印紙
  • 本人確認書類(運転免許証等)
  • 住民票の写し(現住所が登記上の住所と異なる場合)
  • 固定資産税納税通知書(固定資産税の精算用)

固定資産税納税通知書が必要になるのは、決済日(引き渡し日)を境に、1年間の固定資産税を売主負担と買主負担に分け、その精算をするためです。

まとめ

  • 売り出し価格を決めるためにまずは価格査定
  • 不動産会社の契約には種類があるので要注意
  • 買主との金額交渉は原則売主が行う
  • 売却代金が支払われるまで土地の権利は移転しない
  • 登記をするのは司法書士

終活において不動産をどうするか?

これまでの話で、終活とは何かから、終活においては相続が1番理解が難しいこと、相続資産の大半は不動産であることを説明してきました。
最終回の今回は、終活において家や土地などの不動産をどうすればよいのか、3つのポイントでまとめます。

1 相続税納税分も遺せるのか?

まずは相続税がいくらかかるのかを確認する必要があります。
金融資産と不動産を含めた全財産の評価を出すことで計算することができます。

相続人の人数や続柄などにより、相続税の基礎控除額は変わってきますので、相続税の計算に先立って確認しておく必要があります。
この計算により相続税控除額を相続財産が上回る場合、相続税の納税の必要が出てきます。

そして、相続財産の内訳で不動産の割合が大部分を占める場合、相続税の納税に支障を来すことになります。
従来、このような場合に物納(金銭ではなく不動産等の財産を直接収めること)が頻繁に行われてきました。
しかしながら、国としても物納財産がどんどん増えてしまっても非常に困ったことになりますので、簡単には物納を認めてくれなくなってきています。

こうなってくると、特に評価の高い不動産の相続になると、遺された側の相続税納税が大変なことになってきます。
これが正解と言い切ることはできないのですが、例えば不動産の土地の一部を分筆して売却して納税分を手当てする方法や、賃貸マンションの建設や、ロードサイド店舗の誘致など不動産自体の評価を下げる方法を検討することになります。

2 誰に継いでほしいのか?不動産を一人に相続させる場合、各相続人は平等に資産を手にできるか?

不動産の相続を考える場合、特にそれが居住している住居である場合は心情的にも同居して世話になった子どもや、入院中に頻繁に見舞いに来てくれた子ども一人に残したいという希望もあるでしょう。
また、逆に不動産しか残すものがないので複数の相続人で均等持分の共有名義で遺したいという希望もあるかもしれません。

はじめの不動産を一人に遺すケースの場合は、法定相続人、及び法で定められた分割割合について考えなければなりません。
法のもとにおいては、誰に良くしてもらったからとか、誰とは仲たがいしていたからといったことは考慮されません。
ですので、他の資産で法定相続割合の基準を満たせない場合、代替プランを検討しなければなりません。

次に共有名義で遺したい場合、果たして相続後どのようなことが起こりうるのか思いを巡らす必要があります。
一番大きなトラブルは、共有名義の不動産をいざ必要に迫られて売却しようとする際に、共有名義全員の合意がなければ原則的には難しく、身動きが取れなくなってしまうということです。

できることなら避けたほうが良い方法であるのですが、ここでも正解はひとつではありませんのでご自身のケースに照らし合わせて検討するようにしてください。

上手にバランスが取れて相続が可能なケースで、相続人とも相続プランの合意ができて何の問題も一見なさそう場合。
このような恵まれたケースでも、やはり遺言書はしっかりと書き記しておく必要があります。
後になってくると事情によって急に大きなお金が必要になったので、多めに相続したいなどどいったことが、実際に起きています。

バランスが取れない場合は前述したとおり、不動産を売却して流動性の高い資産への組み換えを検討する必要があります。

3 相続した不動産は処分してよいのか?

いざ相続税の納税も済み、相続も終わったとしても、全く問題がないわけではありません。
例えば、相続人が別の住居に居住していて、そのうえにさらに空き家状態で相続したような場合です。

空き家自体はそれだけではなんの価値を新たに生み出すことはないどころか、毎年固定資産税を納付する必要があります。
さらに近年施行された空き家対策特別措置法により、管理が行き届かない場合罰則を受けるリスクまで負うようになります。

このような事態を未然に防ぐためには遺言書だけではカバーしきれない部分もあるのは確かです。
そこで最初の方でご紹介したエンディングノートの出番です。

このエンディングノートは形式にとらわれず自由に思いを書き綴ることができますから、例えば、家を遺す場合にその家をどのようにして手に入れたのか、思い入れはあるのかなどを書き記しておきましょう。
そしてその家をどのように扱ってほしいのか、場合によっては好きなように売却したり、資産運用をしてもかまわないかなども書いておくと遺されたものは大変に役に立つことになります。

以上、終活における不動産の対策についてまとめました。
参考になれば幸いです。

終活の最難関「相続」を理解する

お墓も準備できたし、今はやりの断捨離を実践して荷物もスッキリした。
葬式は身内だけで好きだったジャズを流して明るく送ってもらいたい。

一見終活がとても順調に進んでいるようで、やり始めたら思いのほか楽しくノリノリになってくる方も多いようです。
人生を落ち着いて振り返ることができ、頭の中が整理されてスッキリとした気持ちになれることが大きいのでしょう。

しかしそれほど楽しかった終活もいざ相続を前にすると立ち止まり、悩み始める人も出てきます。
それはなぜでしょうか?

相続を事実上決定づける遺言状をいざ作り始めてみると、法律でさまざまな制限が課せられていることに気づかされます。
相続には相続税法という法律が深く関わってきますので、法律用語も避けられません。
法定相続人から始まって直系卑属に直系尊属、代襲相続に遺留分…普段なじみのない法律用語のオンパレードです。

そして高いハードルは、相続用語の難しさ、相続制度の複雑さに留まりません。
円満な家族であればまだしも、実質絶縁状態なんて複雑な事情を抱えた家族であったりすると、不本意な財産分与に頭を抱えることにもなります。

さらに待ち構える問題として、相続税の心配もあります。
相続が3代続くと、財産が無くなってしまう…という話を耳にしたことがあるかもしれません。
相続税が高すぎることを皮肉った言葉で、若干の誇張もあるのでしょう。

しかし相続税の最高税率は50%にも及ぶのですから、あながちウソであるとも言い切れません。
複雑な相続税のカラクリを理解しなければ、虎の子の財産をガッポリ持って行かれて国家に大貢献という笑顔も引きつる状況が現実のものとなるのです。

相続財産の中身を知り、最善手を打とう!

税率の高い相続税ですが、どちらかと言えば「あるところから取る」という方針なので、救済措置や、裏技的対策(脱税ではありません)が数多く存在します。

そのためにはまず、現金・預金・株式・生命保険などのいわゆる「金融資産」、土地・建物などの「不動産」、その他の財産に分けて、どれだけの価値があるのかを大雑把にでも把握することがスタートラインになります。

このうち金融資産は比較的に足し算で、誰にでも概算の金額は出せるのですが、少し複雑なのが不動産の評価です。
例えば隣の土地が5,000万円で売りに出されているから、自分の家も古いけど同じくらいの広さだからまあ5,000万円くらいだろうという話があったとします。
実際に売りに出す際に参考とする価格としてはあながち間違いでもありません。

しかし相続税の計算においては、評価の方法が異なるのでまったく違った結果になることも少なくありません。
この相続税法における不動産評価の方法につきましては、別の機会に詳しくお伝えしたいと思います。

「不動産」が相続財産の半分以上を占めるという事実

下の表は平成25年度国税庁発表の相続税統計資料から抜粋し、おおまかにまとめたものです。

平成25年度相続財産種類別
種類 価額
不動産 585
現預金 325
その他 128
合計 1038
  (百億円)

単位は100億円と、やや想像しがたい金額になっていますが、不動産が過半を占めていることがわかります。
これは一般的には持ち家等の不動産が財産の半分以上を占めていることを示唆しています。不動産価格の高い日本においては、あまり違和感は感じないのではないでしょうか。

このように相続においては、不動産をどうするかが大きなウェイトを占めます。
逆に言えば、不動産の相続対策さえしっかりすれば、終活においてもだいぶん肩の荷が下りると言えそうです。

では次回は最後に、終活における不動産の取り扱い方をまとめます。

終活への意識調査

先日、若くして亡くなられた女優の川島なお美さんが、実は俳優の奥田瑛二さんと「墓友」になろうと話をされていたことが後に明かされました。
私の大好きなワインを墓石にかけて欲しいと、「墓友」に笑顔で語られていたそうです。

手術の前日にしたためられたエンディングノートには、夫の鎧塚さんへ、天国で待っているからできれば再婚しないで欲しいとのメッセージが書かれていました。
「死せるなお美、生ける鎧塚を走らす」…三国志の故事になぞらえたくなってしまうような、胸が熱くなるエピソードです。

他にもマツコ・デラックスさんと天海祐希さんはお互いに認める大親友だそうですが、このお二人の老後計画が何とも斬新で世間の注目を集めました。
その計画とはマンションを共同で丸々1棟手に入れて、おひとりさま芸人が一人一部屋ずつ暮らしたら寂しくないという大胆なものでした。

どこまでが本気なのかは定かではありませんが、そこに悲壮感はみじんも感じられず、むしろどこか楽しんでいるかのようにさえ感じます。
こんな明るい老後計画も、なかなか素敵な終活の一つの形と言えるのではないでしょうか。

終活の意識調査アンケート

経済産業省が行った終活アンケートの結果によると、50代になると約5割の方が終活を考え始め、60代になると約7割に増えることが明らかになりました。
今後も準備や相談をするつもりはないという回答は極々少数で、今後は準備や相談をして行きたいと考えている人が圧倒的に多くなっています。

ただし、実際に検討や準備をしていると回答された中では、自分自身で行っている、もしくは家族と相談しているという方が大多数を占め、専門家に相談している方はごくわずかです。

年代別具体的行動や準備
出典:Yahoo!japanエンディング

これは、専門家の知識を必要とする相続税課税対象者が、全体の4%強に留まっていたことも関係するのかもしれません。
しかし、2015年の相続税制改正法施行により、相続税課税対象者は大幅に増える見込みとなっています。

そしてそれこそが、今回終活について取り上げた理由で、相続が遺された者の負担になる時代になりつつあります。
次回は終活で1番頭を悩ます、相続について書きます。

終活とは?

今までしっかりと働いてきて、貯金も十分にあるし家の借金も完済したので、今後は悠々自適な年金暮らしを送りたい。
そのように漠然と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、しかしそこには重大な危機が隠されていることも意識せねばなりません。

少子高齢化が進んだことによる年金システムの大幅な見直し。人口減少による空家物件の増加と不動産価格の下落。地方から都市へ、依然として止まらない若者の流出。今まさに私たちの社会システムに歪みが現れ始めています。

世の中が不安に覆われている時、人は何か心のより所を探そうとします。
そのような不安のうずまく世の中で、人生の総決算を促すキーワードが徐々に浸透しつつあります。
それは今回のメインテーマでもある「終活」という言葉です。

なんとなく聞いたことはあるけど、終活っていったい何をするのかよくわからないと感じる方も中にはいらっしゃるでしょう。
しかし仮に分からなかったとしても、それを恥じる必要は全くありません。
なぜならこの終活という言葉、2012年の新語・流行語大賞で入選してわずか数年の、比較的新しい考え方なのです。

終活について簡単にまとめてみると、思いのほかシンプルで拍子抜けしてしまうかもしれません。
終活は5つの大きな項目に分けて考えることができます。

1.エンディングノートをしたためる

エンディングノートとは今までの人生の振り返りの記録や、残された人へと思いを伝えるために書き記すものです。
遺言書と違って、エンディングノートには法的拘束力はありません。

どちらかと言うと、形式にとらわれずに自由に自分の思いを気軽に書き綴ることができるものです。
そのため日記のように手軽に始められるのが最大のメリットとも言え、少しずつ書き足していくことで徐々に自分の考えがまとまっていくということもよくあるようです。

またエンディングノートには備忘録のようなものも書き記すと、案外と残された人には役立つ情報になるものです。
例えば銀行の通帳や印鑑・カード類の保管場所や親しい人の連絡先などをまとめて記録しておくことは貴重な情報となります。

なるべく詳しく家系図を書き残しておくと、子孫のためになるばかりではなく、祖先の供養ともなるでしょう。
万が一痴呆症等、意思伝達に支障をきたす状況に陥ったときに、施設へ入れて欲しいのか、自宅で介護してほしいのかなどの希望を記しておくのもよいでしょう。

そして何よりも重要な情報として、財産の分与の希望を記述しておくことが大切です。
ここは遺言状の内容にも大きく関わってきますが、まずは形式にこだわらず誰に何をどれだけ残したいのか希望を書き出していきます。
特に家などの不動産は、複数人で相続すると一番のトラブルの元となりやすいので、しっかりと希望を書いておくことが後に大きな意味を持つことになります。

これ以外にも様々なメリットがあり、挙げればキリがないほどですが、まずはエンディングノートの1ページ目を記すことが終活最初の一歩となることでしょう。

2.身の回りの荷物を片付ける

エンディングノートで心の整理を行うと同時に、実際に存在する物の整理にも着手することが大切です。
自分も親の遺品を整理する際に、なかなか思い切って処分するのが難しかったり、形見分けなどで嫌な思いをされた経験をお持ちの方もいるかもしれません。

自分の持ち物を自分で整理することは一見当たり前のように思えますが、なかなか年齢を重ねると思い切った大整理は難しくなってきます。
自分でできることは自分でやるとしても、ここは子供たちや親類に手伝ってもらうことを検討しても良いでしょう。
一緒に整理していることで思わぬ思い出話に花が咲き、話し辛かった相続の話などもできてしまうかもしれません。
まさしく人生の棚卸といった感じで、終活の一大イベントとして気持ちが高まることでしょう。

3.お墓を準備する

終活の中でも大きなウエイトを占めるのが、このお墓を準備することではないでしょうか。
ある程度まとまった費用が必要となりますし、一度準備してしまうと後からかんたんには変更することもできません。

重い腰をあげていざお墓の準備にとりかかると、いろいろと考慮しなければならないことが見えてきます。
先祖代々の墓がある場合、そこへすんなり入ることができるのか検討する必要があります。
妻の場合、夫側のお墓に入ることに難色を示す方も案外と多いですし、親子関係で何らかしらのわだかまりがあった場合、別のお墓を用意したいと思う方も珍しくはありません。

お墓の場所も重要で、車でも気軽に行けないような山奥だったりすると、後に残された者が大変ですし、お墓参りも中々してもらえなくなってしまうかもしれません。
最近では広々とした作りの霊園タイプの墓地が、車でそのままお墓のすぐそばまで行けたり、レストランなどの設備も充実していたりと人気を集めています。
寺院との檀家のおつきあいなどが少々苦手な方には、費用さえ納めればきちんと管理してくれる手軽さも好評のようです。

ただし宗教法人所有の霊園は宗派が異なると受け入れてもらえない場合もありますので注意も必要です。

そして何よりも大切なのは、自身の目でしっかりと墓地を見学し、自分の希望ときちんと合っているか確認することではないでしょうか。
インターネットなどで気軽に情報収集できる時代ではありますが、やはり現地に行かないと確認できないことはたくさんあります。
さらに終活しているという充実感を味わうこともできますので、まずは墓地の見学に訪れることをおすすめします。

4.相続財産について遺言状を作成する

人によってはこの遺言状を書くことが、終活のはじめの一歩であると感じる方も多いかもしれません。
しかしながら終活全体の中では、遺言状作成は最後の仕上げに近い段階で行うのがよりよい選択です。

最初に述べさせて頂いたエンディングノートの作成は、きちんと自身の考えが整理された、後悔しない遺言状を書くための大いなる助けになります。
エンディングノートにありのままの思いを書き記す内に気持ちに変化が生まれたり、わだかまりも実は誤解だったのではと考え直すきっかけとなったりするのは珍しいことではないようです。

遺言状は主に相続について法的拘束力を持つ重要な書面なので、最初に遺言状を書いてしまうと、知らず知らずその内容に縛られてしまいがちです。
しっかりと人生の棚卸をしてから、あらためて遺言状の作成に取り掛かると、とてもよい納得の遺言状を書くことができるでしょう。

遺言状を既に書いてしまった場合も、後から書き直すことが可能なので(日付が新しいものが有効となる)、一度見直してみてもいいかもしれません。

5.自身の望む葬式を決めておく

ここまでくれば、ほぼ終活も総仕上げといった感じがしてきます。
現代社会では、かつての慣例にとらわれない自由な形での葬儀が徐々に浸透してきています。

かんたんなところでは、自由葬という宗教にとらわれない、宗教色を消し去った葬儀の形態が普及しています。
葬儀社も本人や遺族の希望を聞いてくれる場合が多くなっていますので、例えばBGMに自分の好きだった明るい曲を流してもらったり、生前の故人の活躍を編集した動画を流してもらったりといったことも可能になってきています。

今ではまだ稀なケースかもしれませんが、釣り好きの方が海へ散骨したり、極端なところでは宇宙葬などというものも実際に行われているようです。

もちろん、伝統にのっとった葬儀の荘厳な雰囲気も素晴らしいものです。
家族だけで送ってほしいのか、友人にも来てほしいのか、とにかく盛大に行いたいのか、じっくりと考えてみましょう。
葬儀で読まれたい弔辞を考えることが、自分の人生の振り返りにつながるという考え方もあるようなので、試してみるのもよいかもしれません。

いままで述べてきた、この5項目に共通することは、自分自身の希望を明確にして、死後残された家族・親類が安心して遺志や財産を受け継ぐことができるように、身辺を整えておくということです。
「立つ鳥後を濁さず」ということわざは、このことを見事に言い表していると言えるでしょう。